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中国紀行|蘇州

(天に極楽、地に蘇州-1/5)

2001年5月
怡園    

江南の人がよく、「上有天堂、下有蘇杭」という語り継がれた言葉を口にする。

上(天)には極楽があり、下(地)には蘇州と杭州があるといったような意味で、蘇州と杭州は極楽に匹敵するほど素晴らしいところだと讃えているのである。

呉王の闔閭(こうりょ)が蘇州に町を建設したのは非常に古く、紀元前514年まで遡るそうだ。

蘇州の運河

やがて「糸綢之府(絹の都)、魚米之郷、園林之都」と賞賛されるようになり、豊かな江南の代表的な都として栄えてきた。

また「水郷古城」としても親しまれ、太湖をはじめとする多くの湖沼と河川、そして道路のように張り巡らされた運河の街としても有名で、これらの水面面積が、市の総面積のじつに4割以上に及ぶといわれている。

 

蘇州は上海から汽車に乗って西に84キロ、特快で4‐50分の位置にある。1985年には沿海経済開放区に指定され、長江デルタ開発構想のなかで、上海の後背地として重要な位置を占めつつある。

ただし旧市街には、豊かな江南の文化が凝縮された多くの著名な建造物や庭園、公園などが点在しており、1997年には蘇州古典園林が世界文化遺産に登録された。このため新築の建物には高さ規制があって、旧市街の景観を損なわないような配慮がされている。

   
 

私が蘇州を初めて訪れたのは、南京に赴任してからのことである。

   
獅子林  

たまたまNHKのBS放送を見ていたら、ドキュメンタリーで水郷の街「同里」をテーマに、状元蹄という名の付いた豚足を売るお土産店の生活振りを紹介していた。

同里は蘇州にある。豚足は好きでもないのに、なぜそんなにまでこの店に惹かれたのか不思議だが、そのときはぜひ行ってみようという気になってしまった。5月の労働節(メイデー)が連休になることを知って、急遽出かける決心をする。

蘇州シェラトンを3泊予約し、事務所が入居していた古南都飯店にリムジンを頼んだ。南京から高速に乗って蘇州まで約220キロ、時間にして2時間半のドライブである。

この年の労働節の前半は好天に恵まれた。
というのも、後半は揚州に移動し、雨に降られたからである(次節「隋の煬帝と揚州の柳」参照)。快晴で風薫る蘇州の街の空気に、じかに触れて見てみたい。

                             

街に多く点在する古典的な「園林」を鑑賞するには、自分で自由に時間をコントロールできる自転車がぴったりだ。たまたまホテルに貸し自転車があったので、一日50元(約750円)で借りることにした。

旧市街は街路樹がよく手入れされていて、じつに爽やかだ。市内のメインストリートは車道のほかに自転車専用道もあるので、ふたつの通りをグリーンベルトが隔てている。

    虎丘
(続く)  
 
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