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(天に極楽、地に蘇州-3/5)

蘇州での3日目。

前日に見残した庭園を見て回ったあと、中国で4番目に大きい太湖を見に行くことにした。中国で四番目に大きいとは言うものの、面積は2,338平方キロ(注)もあって、日本最大の琵琶湖の3.5倍の大きさである。

太湖というと、蘇州からさらに40キロほど内陸に入った無錫の方が観光地として有名だが、蘇州にも西山と呼ばれる大きな島と、その東の半島の先に突き出た東山風景区というふたつの観光スポットが、この湖のなかで東西に向かい合っている。

注)太湖の面積についてはいろいろの数字があるが、ここでは中国人民網日本語版(2001年11月)に拠った。

太湖大橋  

ホテルで昼食をとったあと、西山風景区の方に行ってくれるよう運転手に頼み、タクシーに乗り込んだ。

蘇州の町からタクシーに乗って西南の方向に3‐40分走ると、太湖が見えてくる。

西山という大きな島と湖岸の間には、さらにふたつの小さな島があり、これらの島を結んで太湖大橋が架かっている。

蘇州の運河の色が淡い砂色をしていると表現したが、太湖も同じである。粘土を溶かしたときのような黄色っぽい色ではなく、澄んだ川底の砂を掻きまわすと少し濁るようなあの砂の色である。

蘇州から1時間ほど走って西山の南端に着くと、「西山と東山の間にある三山という島は、眺めがいいですよ。ボートに乗って行ってみませんか?」突然こんなことを運転手が言い出した。

半日幾らで決めていたので、このまま島内をぐるぐる走り回っても、車を降りて私が三山に行っている間運転手が昼寝していても、料金は変わらない。西山は5万人近くの人が住む大きな島だ。見所は結構あるだろうが、蘇州の街を自転車で散々走り回っていたので、タクシーに乗り続けてあちこち見て回るよりは、気晴らしに小船に乗って三山に行くのも悪くない。

結局、運転手の上手い誘いに乗ることにした。太湖の水はどこまで行っても、あの淡い砂色をしている。小さな快速艇に乗って15分ほど南に走ると、島影が目の前に迫って来た。三山は小さな島だが何十件もの家が船着場の傍に密集していて、漁業と畑、それに鶏やウサギなどを飼って生計を立てている。

蘇州の街からは、距離的にも地形的にもずいぶん隔たっている離れ島だが、こんな小さな集落の建物もあの「粉牆黛瓦」である。

舗装されていない道を丘の方に登ってゆくと、湖に向かって蜜柑の白い小さな花が咲きこぼれ、その先に広がる畑のなかに、白壁に黒い屋根の家がぽつりぽつりと建っている。

三山の人家
                       
三山の船着場

丘をさらに先に進むと屏風状の岩山が突き出ていて、細い山道伝いに登ってゆくと、急に展望が開けてくる。

すでに少し西に傾いた太陽がちょうど逆光になっていて、鏡のように動かない太湖の光る湖面に、幾つかの丸い島影が浮かんでいる。これといって何の変哲もない島だったが、今はすっかり失われてしまった素朴な人びとの生活がそこにあった。

                     

いよいよ蘇州最後の日。この地にやって来る原因となった、あの同里風景区の見物に出かける。同里は、厳密には蘇州の南に隣接する呉江市にあって、ホテルからは混雑した街中を通ってゆくので、タクシーで1時間もかかる。

同里風景区の入り口で入園料50元(約750円)を支払い、切符をもらった。受付のガラス窓に、記念館のガイド、全体のガイドという表示があって、それぞれ値段が書いてある。

(続く)

     
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