2010年8月
江西省の三清山(さんせいざん)には、昔登ったことがある。
この山はその後ほどなくして世界自然遺産に登録されたが、今年8月には、同じ江西省にある龍虎山(りゅうこざん)と亀峰(きほう)が、「中国丹霞(たんか)」として世界自然遺産に登録された。朗報である。さっそくこれらの新しい世界遺産を歴訪してみたいと思い、旅先情報の下調べや旅程の作成にとりかかった。
夏も終わるころ、いよいよ南京駅に向かう。
南京駅から夜行列車に乗ると、翌朝、龍虎山のある鷹潭(おうたん)という街に着く。寝台車に乗るのは久しぶりだったが、コンパートメントは上下二段の寝台二組の構成で、まあまあの広さだ。
まだ誰もいないベッドに、仰向けに寝転んでみる。これならなんとか眠れそうだ。地図を広げて、南京から鷹潭市までの道程を眺めているうちに、ガタンゴトンと音を立て、汽車は走りだした。
夕方の発車だったので、2時間ほどしてから食堂車に出かけてみたら、すでに満席である。
ただ、よく見てみると、誰も食事をしていない。客席が満員なので、ここに来て座っているらしい。係員の計らいで席を確保してもらい、夕食をとった。
食堂車も、ひと昔前と比べるとずいぶん綺麗になったものだ。あとは、資料を読んで眠るだけである。
翌朝、鷹潭駅に降り立つと、雷を伴った激しい雨が降っている。旅に出るときはいつも天気予報をチェックするので、雨に降られることはめったにない。しかも天気予報で晴れマークの続く最初の日に大雨とは・・・。幸い、かつてこの街に来たときに泊った駅前のホテルを覚えていたので、朝からホテルにチェックインし、この日はじたばたしないことにした。
ホテルでしばらくのんびりしたあと、事前に調べた地元の旅行会社に電話して場所を確認すると、歩いてゆける距離である。昼食後、旅行会社に出向き、龍虎山と亀峰周遊のための専用車を頼んだ。
世界遺産に登録された龍虎山は、この町最大の観光スポットで、丹霞という独特の地形の中にある。この地形は飛び石のように付近に点在していて、そのひとつが亀峰と呼ばれる奇岩・怪石の山塊である。
「丹霞」は赤い霞という意味だが、中国の著名な地質学者が広東省の丹霞山周辺を調査したとき、赤い砂礫岩の集中した独特な地形に注目、この地形を丹霞山にちなんで丹霞地形と命名したのが、この名の謂れだという。
この地形は、米州西部、欧州中部、オーストラリアなどにも分布しているが、中国がとくに多く、龍虎山や亀峰をはじめ、合計6か所が世界自然遺産に登録された。
(続く)
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