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中国紀行|龍虎山・亀峰・三清山

(江西省の新しい世界遺産巡り-9/9)

2010年8月

三清山の二日目。

チェックアウトを済ませ、荷物を宿に預けて外に出ると、宿の横の小高い岩山からリュックを背負った旅行客が下りて来る。彼は私に手をあげ、「ここは景色が素晴らしいですよ」といって、足早に通り過ぎて行った。

中国紀行・三清山4

ちょっと分かりづらいガイドマップを見てみると、南清園景区内の一本のルートにまだ行っていないことに気付いた。リュックの旅行客が降りてきた小道が、それなのかもしれない。

さっそく、小道に足を踏み入れる。急な石段を登ってしばらく歩くと、大空に突き出た屏風のような岩山が、覆いかぶさるように聳えている。「素晴らしいですよ」と、リュックの旅行客が言ったとおりだ。

中国紀行・三清山5

その先には、玉清台という道標がある。さっそく高台に登ったが、白雲が澎湃(ほうはい)と湧き上がり、前に聳える大きな岩山を遮っている。

幸い、雲が流れてくる遥か先には、青空が見える。それならと高台の下に降りて石段に腰かけ、じっくり待つことにした。1年前の天柱山の再現である。

4-50分は待っただろうか。ようやくガスが消え、二重に連なった大きな岩山が、少しずつ顔を出す。長い間待たされていただけに、感動もひとしおだ。誰もいない高台で何度もシャッターを切り、静謐(せいひつ)な大自然の中に立ち尽くした。

中国紀行・三清山6
中国紀行・三清山7
中国紀行・三清山8

三清山の売り物のひとつに、桟道がある。東海岸景区と西海岸景区に整備された桟道は、中国でもっとも高く、もっとも長いのだそうだ。

それにしても、こんな山深いところで海岸というのも場違いな気がするが、この辺りは太古の昔、海中に没していたことに由来するらしい。

西海岸景区の桟道は4キロほどあるが、その間まったくフラットで石段がない。桟道がなければとても近付けない断崖絶壁を、ピクニック気分で散策できるのはまことにありがたい。照りつける太陽のもと、大自然の雄大な風景に包まれて、しばし時の経つのを忘れた。

ミドルバー

結局この日も、すっかり日の傾くころまで山を歩き、最初に泊まった麓のホテルにチェックインした。ひと風呂浴びて夕食をとり、部屋に戻って紹興酒の栓を抜く。カメラを取り出して、撮影済みの画像をひとつひとつ見ているうちに、炎暑の県道で出会った老人の親切を思い出した。

わざわざ道路を渡って来た老人は、あの時きっと「上饒行きのバス停はあそこにありますよ」と言っていたのだろう。あのタイミングで話しかけてくれなかったら、一日一便のマイクロバスに乗れなかった。早すぎても、遅すぎてもダメだったのだ。

三清山の旅は、こうして前回も今回も、幸運の女神がほほ笑みかけてくれたとしか言いようのない偶然が重なって、大いに助かったのである。

(終わり)

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