2009年7月
黄龍洞からタクシーに乗り、黄石塞に向かった。幸い昨日同様、紺碧の空が広がってているが、案の定、黄石塞のロープウェー乗り場は長い行列ができていた。かつて国慶節《中国の建国記念日》の休みにこの地を訪れ、2時間以上も並ばされた苦い思い出がある《世界遺産武陵源と憧れの洞庭湖-3/5参照。こちら》。
この日は前回ほどではないが、それでも1時間近くかかるのでは?
そんなことを思っていたら、突然ガイド嬢が「係員に聞かれたら、『この人は日本人ツアーの添乗員です』と答えるので、そのときは中国語を使わないでください」といって、行列の脇から反対側の通路を通り、乗り場のある建屋のドアを開けて中に入った。
どうやらここは、ガイドなど関係者専用の通路らしい。幸い係員はおらず、そのまま長い行列の前に出て、ロープウェーに乗り込んだ。彼女の機転で1時間近くの時間がセーブでき、大いに助かった。
黄石塞で彼女が案内してくれたルートは、最近開発されたものらしく、昔の記憶と一致しない。一通り回り終わったあと、私の記憶にある場所を尋ねたら、さっき通ってきた分かれ道の反対側だという。
新ルートより昔の記憶にあった黄石塞の方がましだと思ったので、彼女をその場に待たせ、再確認のため急ぎ足で言われた分かれ道に向かった。 この旧コースは、袁家界のように石柱が密集していないので、かなり歩かないと次の景点に着けない。 しかし遊歩道は平坦なので、散策気分で一周する方が、袁家界コースと違った風韻(ふういん)を楽しむことができる。
中間点を通り過ぎていたのでこのまま先に進めば早く戻れるが、彼女の待っている場所に辿り着けない恐れがある。ちょっと躊躇した挙句また引き返し、旧コース確認のために1時間近く余計な時間を使ってしまった。
こうして、黄石塞のロープウェーを降りたときは午後2時を回り、わざわざ出迎えに来てくれた女性部長には、大変すまないことをしてしまった。彼女は不満顔ひとつせず、武陵源内の郷土料理店で車を停めた。
ガイド嬢と3人で遅い昼食。いろいろ郷土料理を注文してくれたが、最初に、今まで見たこともない白いドロドロしたスープらしきものが出てきた。
葛(くず)なのだという。時どきお世話になっている葛根湯(かっこんとう)の、あの葛である。ちょっと甘みを感じる程度で、特別な味がする訳でもない。変なスープですねといっておきながら、結局、私が一番沢山このスープを飲んでしまった。
遅い昼食後、女性部長の車で長距離バスターミナルまで送ってもらい、長沙行きのバスに乗り込んだ。長沙まで距離にして400キロ弱、4時間以上の長丁場である。
事務所に戻ったあとで調べてみると、私が飲んだ白いスープは葛湯(くずゆ)というもので、これを作る葛粉(くずこ)は、日本ではジャガイモの澱粉を混ぜたものが大半を占め、本葛は極めて少ないため最高級品として扱われ、その多くが中国から輸入されているのだそうだ。本場中国の本葛で作った葛湯を飲んだということが分かると、急に得した気分になった。
(終わり)
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